20代後半の男性、佐藤さん(仮名)のお話しです。
佐藤さんは、中堅クラスの旅行会社で働いていました。
普通に仕事をこなしていたある日、会社が倒産するらしいとの話が伝わってきました。
「マジかよ・・・」
一瞬、頭の中が真っ白になったそうです。
しかし、佐藤さんは周りの社員ほどは焦っていませんでした。なぜなら、その時佐藤さんは転職活動をしていたからです。
なぜ佐藤さんはそんなにタイミングよく転職活動をしていたのでしょうか?
倒産を察知していた?
倒産しそうな企業の事例としてこういうものがあります。
・営業の会議(売上アップ)が増える。
・やたらと経費削減を押し付け始める。
・重役だけの会議がこっそり行われる。
・営業のトップ、経理のトップが辞める。
そのほかにも、給料の支払いが遅れるという事例なんかは、怪しすぎる兆候です。
佐藤さんは、そのような兆候を感じ取っていたのでしょうか。
いえ、違います。
佐藤さんは単純に自分がやりたい仕事を見つけていたのです。その情報を入手するために、転職活動をしていたのでした。
転職活動が身を守ることもある。
こういう話では、事前に倒産を察知していて、水面下で転職活動をしていたおかげで、無事に転職できて大成功!というストーリーが多いと思いますが、今回の話は全く違います。
この話は当然、実話ですが、佐藤さんは勤めていた旅行会社の労働時間の長さとノルマにウンザリしていました。今の仕事が嫌だと思っていたので、昔から興味のあったインテリアに関する仕事を探していたのです。
会社の倒産を見抜くなんて、そんなに簡単なものじゃありませんからね。経営陣も隠そうと必死ですから、倒産を察知した話なんてよくあることじゃないんです。
佐藤さんは、インテリアに関する会社の情報を集めるために転職活動をしていましたが、今の会社を辞める決断をしていた訳ではありませんでした。
・求人を出している会社にはどんな会社があるのか?
・給料の相場はどんな感じなのか?
・どういう資格や技能が必要とされるのか?
そういう情報を淡々と調べていただけだったのです。
そうしたところ、会社が倒産するという情報が社員に広がりました。この機会を転職するタイミングととらえた佐藤さんは、情報を集めていたインテリア会社の採用試験を受け、見事に転職することが出来ました。
そして佐藤さんが勤めていた旅行会社は、インテリア会社に転職してしばらくすると、本当に倒産してしまいました。
たまたまではありますが、転職活動を進めていたことにより、すぐに転職を実行できる下準備ができていたのです。
まとめ
転職活動は必ずしも転職のためにする必要はありません。
自分の興味がある業界はどのような市場なのか?
今、働いている業界で、他社はどのような状況なのか?
そういった情報を収集することで、今の会社に新たな気づきを見つけることもありますし、自分がやりたいことが見つかることもあります。
転職活動が自分自身を見つめ直す機会になるのです。
大手転職サイトの「リクナビNEXT」や「マイナビ」は無料で利用できますから、そういった情報を収集するだけでも、リスク管理にもなりますよ。